取組事例
令和5年度 涼み処実施自治体インタビュー
所管部署:千代田区千代田保健所地域保健課健康企画係
千代田区では、6月下旬から9月上旬までの間、区内の公共施設22か所及び民間施設14か所(※7月24日時点)を「ひと涼みスポット」として開放しています!
平成22年頃から、熱中症による高齢者の死亡者数の増加が社会的に問題になり、高齢者への個別訪問を開始しました。その後、より幅広い年齢を対象にした「ひと涼みスポット」の事業を平成26年より開始しました。
第一の条件は、冷房の効いた「ひと涼み」できる施設です。加えて、水分補給、休憩スペースの提供、熱中症に関する啓発品(チラシ、うちわ等)の配架など、施設の形態に合わせてご協力いただいています。
各所管部署と調整して、初年度は16か所の施設で試行実施をしました。事業開始当初は、所管部署から通常業務に影響を及ぼすのではないかなど懸念されるご意見もあり、調整が難しかった状況もあったようです。
区施設での試行実施の翌年度から、民間施設にも対象を拡大しました。当初は、ひと涼みアワードの賛助団体などを中心に依頼をし、現在では薬局や大学のほか、皇居周辺のランナー施設などにご協力頂いています。今年からは新たに、郵便局にもご協力頂いています。民間施設へのアプローチは、個別に電話をするなどして、協力頂ける施設を拡充してきました。
のぼりやポスターに加え、うちわ、ちらし、ひと涼みスポットマップ、経口補水液、OS1ゼリー、ポカリスエット、塩飴を各施設の営業・運営形態に合わせて置いています。年度初めに、希望の普及啓発品を調査し、区から配布しています。うちわや塩飴は利用者のニーズが高く好評です!
「ひと涼みスポット」をまとめたマップを毎年作成して配布しているほか、毎年、区の広報誌で熱中症予防などの特集記事の掲載を行っています。また、高齢者の方々への戸別訪問や介護保険料通知書にチラシを同封する等の取り組みも行っています。千代田区には、皇居や武道館などに観光目的で訪れる外国人の方も多いので、啓発品について英語版も用意しています。
環境省が推進する「熱中症予防声かけプロジェクト」からお声がけを頂き、「ひと涼みスポット」や「熱中症予防訪問」などの取り組みで応募させて頂きました。受賞後の反応として、取り組みへの理解が深まり、ひと涼みスポットにご協力頂ける施設が増えました。
施設数に関しては、今後拡充を図っていきたいと考えています。特に、区の南部については、スポット数が少ないので増やしていければと思っております。
所管部署:立川市福祉保健部健康推進課(健康づくり担当)地域支援係
立川市では、6月16日から9月30日までの間、市内の公共施設45か所及び民間施設189か所を「立川ひと涼みスポット」として開放しています!
【写真は立川ひと涼みスポットの例】
左・中央:民間施設(エキュート立川) 右:公共施設(立川市女性総合センター)
従来から、高齢者に向けて熱中症対策を行っていましたが、庁内や関係各所から熱中症に対する注意喚起の輪を広げ、地域ぐるみで取り組むべきという声がありました。そこで、国の進めている「熱中症予防声掛けプロジェクト」の賛同会員に登録し、取り組みを始めました。
選定基準はありません。暑さや疲れを感じた人が立ち寄って涼める場所で、不特定多数の人が気軽に利用できる施設を中心にご協力頂いています。
最初は公民館が中心でしたが、その後、体育館や福祉会館、図書館などにもご協力頂けるようになり、施設数は増加傾向にあります。施設が少ない地域では、給食センターにもご協力頂き、会議室の開放や保存水の提供などを行っています。所管部署には、毎年4月に協力依頼を行っています。
取り組み開始時から、民間施設にもご協力頂きました。商工会議所、商店街連合会等各種団体に事業の趣旨を説明して、協力依頼しています。当初と比べ施設数は増え、コンビニや薬局、郵便局等にもご協力頂いています。協力団体の方からは、「利用者から感謝を伝えられた」、「地域のつながりをつくるきっかけになった」というお声を頂きました。
各施設に負担がかからないよう、目印となるポスターの掲示をお願いしています。3種類の大きさのポスターを作成し、各施設の希望にあわせて配布しています。一部の施設では、ひと涼みスポットマップの配架、休憩スペースや飲料の提供などを行っています。
広報誌では、4コマ漫画を使って、熱中症対策を分かりやすく伝えています。今年から新たに、立川安全メールに「熱中症」の区分を設け市民に発信しています。また、SNS(Twitter、LINE)、防災無線、公用車を利用して、普及啓発を図っています。独自の取り組みとして、地域住民に広く熱中症対策を促すため、夏季にごみ収集車から放送を流しています。
アワード受賞前には、30から40ほどだった施設数が、受賞後100を超え、現在は200以上になりました。取り組みを拡大する一つのきっかけになりました。
現状は駅周辺にスポットが多く、入れ替わりもあるため、市内全域に偏りなくひと涼みスポットが設置されることを目指しています。ひと涼みスポットと共に熱中症予防方法が認知され、外出中の熱中症発症者が減少することを目標に取り組みを進めていきたいです!
所管部署:品川区総務課総務係
品川区では、6月下旬から9月30日までの間、区内の公共施設59か所を「避暑シェルター」として開放しています! (写真は避暑シェルターの例:荏原第五地域センター)
東日本大震災をきっかけとした節電要請を受けて、庁内で横断的な会議体を立ち上げ、平成23年の夏から取り組みを開始しています。夏場の家庭での節電を主目的とし、併せて熱中症を予防する対策として、避暑シェルターを設置しました。
特にありません。出張所などの身近な施設に加え、高齢者・子供が利用する施設など、区内の公共施設で休憩場所が利用できる施設を選定しています。
毎年5月に、総務課から各施設に事務連絡を出して、実施内容や飲料水などの備品をまとめた実施計画を提出いただいています。
原則として飲料水を置いているほか、施設によっては給水機、ウォーターサーバーを設置しているところもあります。一部施設では、冷却パックや冷却シートも備えています。また、各施設の入り口には必ずのぼり旗を1本設置しています。
日本気象協会が推進している「熱中症ゼロへ」プロジェクトの啓発ツール(リーフレット等)を避暑シェルターに配架しています。また、区のHPや広報誌、各地域に月1回配られるポスターなどにも、避暑シェルターや熱中症対策の情報を掲載しています。
当初は、利用者数の想定が難しく、各施設の通常業務に支障が出るのではないかといった不安もありました。また、初年度は、備品準備の面で、一部施設で紙コップが一時的に不足してしまうこともありました。
利用状況については毎年度10月に各施設からご報告頂いています。利用者数の把握方法については、使用した紙コップの数や施設の入館者数等を基に集計しています。幅広い年代の方に利用頂いています。
昨年度、6月下旬に記録的な猛暑日が続いたことを踏まえて、今年度は、開設期間の前倒しを行いました。来年度以降も、開設期間の延長を検討していきます。
所管部署:福祉保健部高齢者福祉課【涼み処】
墨田区では、6月1日から9月30日までの間、区内の公共施設15か所を「涼み処」として開放しています!
また、墨田区と墨田区薬剤師会は共同で、6月1日から9月30日までの間、区内の31か所に「すみだひと涼みスポット薬局」を開設しています!
【左の写真は涼み処の例】梅若ゆうゆう館
【右の写真はすみだひと涼みスポット薬局の例】りんご薬局立花店
「涼み処」は、東日本大震災を受け、熱中症から高齢者を守る都の緊急事業の一環として平成23年度から開始しました。区内の高齢者が自宅以外で日中の猛暑を避け、冷房施設のある施設で過ごせる場所として開設しています。
「すみだひと涼みスポット薬局」は、環境省のモデル事業発表会で気候変動適応法改正が予定されていることを知り、区として対応を検討しました。その際、以前からスポット薬局を計画していた墨田区薬剤師会にお声がけし、地域住民が気軽に薬局に立ち寄り、ひと涼みできるような取り組みを開始しました。
「涼み処」については、冷房があり休憩できる施設を中心に選定しています。また、今年度は、施設の立地を踏まえ、涼み処がないエリアに新たに設置しました。
「すみだひと涼みスポット薬局」については、室温28度を保つことに加え、グッズの提供やアンケート対応を行える事を条件にしています。
ウォータータンク、経口補水液、塩飴、クールタオル、うちわ、のぼり旗等が配架しています。一部のグッズについては、民間企業にもご協力頂いています。また、一部の薬局では、暑さ指数(WBGT)を掲示する黒板を配置し、利用者の方々へ情報提供をするなどの工夫をしています。
区内在住で75歳以上の一人暮らしの方と75歳以上のみ世帯の世帯主の方に対しては、6月上旬に熱中症予防啓発用ポスター、カードを送付しており、その際に「涼み処」一覧のリストを合わせて配布しています。
「すみだひと涼みスポット薬局」については、区報・HPやイベントなどを活用し、周知・普及啓発を行っています。イベントでは、6月から8月にかけて複数回開催し、グッズの配布やアンケート調査、「熱中症 私の暑さ対策」をテーマにした川柳コンテスト等を実施しています。また、区の広報・広聴担当によりCATVの放送やプレス発表などのプロモーションも行い、様々なメディアへPRしています。一部のイベント情報の発信にはSNS(ツイッター、Facebook)も活用しました。
「涼み処」については、利用者から、「道中立ち寄れてよかった」「他利用者とコミュニケーションが取れた」などの声を頂いています。施設の方に伺ったところ、昨年度と比較し、涼み処単体で利用する人も増えてきました。
「すみだひと涼みスポット薬局」については、今年度始まったばかりの取り組みの為、「ちょこっと休憩できる施設」としての認知度を高めていきたいと思います。様々な普及啓発を通じて、来年度以降も継続して取り組みが行えるようにしたいです。